「S&P500VSオルカン」論争に終止符!結局同じ?

【中級】ねこねこNISA

ヒロタカ先生!新NISAの口座は作ったんですけど、みんなが「S&P500がいい」とか「オルカン一択だ」とか言ってて、どっちの銘柄を選べばいいか分かりません!

いわゆる「S&P500VSオルカン論争」だね。よし、今日はその論争の終着点について検討しよう。

「S&P500か、オルカンか」――。新NISAの普及とともに、日本の個人投資家の間で最も熱く、そして終わりのない議論として語り継がれてきたテーマです。しかし、近年のデータ分析や市場の成熟、そして2026年現在の金融環境を照らし合わせると、一つの明確な結論、すなわち「論争の終止符」が見えてきます。

それは、「どちらを選んでも、長期的には『結局、同じ』ような結果に収束する」という真実です。

本稿では、なぜこの2つの選択肢が「本質的に同じ」と言えるのか、その構造的・経済的背景を深掘りし、投資家が抱く「どっちが正解か」という呪縛を解き明かしていきます。


序章:10年続いた「宗教戦争」の歴史と現状

投資の世界には、時に論理を超えた「信念」のぶつかり合いが生じます。その最たる例が、米国株の象徴である「S&P500」派と、全世界分散を説く「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)など)」派の対立です。

  • S&P500派の主張: 「世界最強の米国企業500社に投資すれば十分。過去100年の歴史が、米国1本で勝てることを証明している。他国を混ぜるのは足を引っ張るだけだ。」
  • オルカン派の主張: 「未来のことは誰にもわからない。米国の覇権が永遠に続く保証はない。世界経済の成長を丸ごと享受する分散投資こそが王道だ。」

2020年代前半までは、この二者は「集中」か「分散」かという対極の存在として語られてきました。しかし、2026年現在、両者のポートフォリオを顕微鏡で覗いてみると、その境界線は驚くほど曖昧になっていることがわかります。


1. 構造的理由:オルカンの「中身」は6割以上がアメリカ

「結局、同じ」と言われる最大の理由は、オルカン(MSCI ACWI)というインデックスの構成比率にあります。

時価総額加重平均の魔力

オルカンは、全世界の企業の時価総額に合わせて投資比率を決めます。2025年〜2026年のデータを見ても、米国株の比率は約60%から65%という圧倒的な水準を維持しています。

  • S&P500: 米国 100%
  • オルカン: 米国 64% + その他(日本、欧州、新興国) 36%

ええっ!6割以上がアメリカ株なんですか?

そう。つまり、オルカンを買っている投資家も、資産の3分の2近くはアメリカに賭けていることになるね。

重複する「巨大企業(マグニフィセント・セブン)」

さらに決定的なのが、上位銘柄の顔ぶれです。Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Alphabet、Metaといった「ビッグテック」は、S&P500の時価総額上位を占めるだけでなく、オルカンの時価総額上位をも独占しています。

S&P500の上位10銘柄とオルカンの上位10銘柄を比較すると、その顔ぶれはほぼ一致します。

ポートフォリオの共通性≈85%∼90%(米国部分の寄与度)

オルカンのリターンの大部分は、これら一握りの米国巨大企業によって決まる構造になっており、結果として「S&P500が動けば、オルカンもほぼ同じ方向に動く」という強い相関関係が生まれています。


2. 経済的理由:グローバル企業の「国籍」は無意味化している

投資初心者が陥りがちな誤解が、「米国株投資=米国国内の景気に左右される」「全世界投資=世界各地の景気に左右される」という思い込みです。しかし、現代の資本主義において、企業の「本社所在地」は投資リスクの所在を正確に表していません。

収益源のグローバル化

S&P500に採用されている企業の売上高のうち、約40%以上は米国「以外」の国々から得られています。

  • 例:AppleやNVIDIA: 本社は米国ですが、チップは台湾で製造され、製品は中国や欧州、インドで売られています。

逆に、欧州や日本の巨大企業も、その収益の多くを米国市場や世界市場に依存しています。

  • 例:ASML(オランダ)やトヨタ(日本): 彼らの株価は、現地の景気以上に、世界全体の半導体需要や消費動向に左右されます。

「どこに上場しているか」よりも「どこで稼いでいるか」が重要なんですね。

米国100%のS&P500も、全世界を網羅するオルカンも、実態としてはどちらも「地球全体の経済活動」に投資しているに等しいということだね。


3. 数値の相関:統計が示す「ミラー効果」

「結局同じ」であることを証明するのは、感情的な議論ではなく「相関係数」です。 過去10年、20年のデータを分析すると、S&P500とMSCI ACWI(オルカン)の相関係数は、多くの期間で0.95〜0.99という極めて高い数値を示しています。

相関係数とは? 1.0に近いほど「全く同じ動き」をすることを意味します。0.95以上という数値は、統計学的には「ほぼ同一の動きをしている」とみなせます。

ボラティリティ(価格変動)の微差

もちろん、完全に同一ではありません。

  • S&P500: 米国株への集中度が高いため、上昇時の爆発力はあるが、下落時の振り幅もやや大きい。
  • オルカン: 他国に分散されている分、米国株単体の暴落時には多少のクッションが効くが、上昇時には「重し」になる。

しかし、この差が個人の人生に与える影響は、誤差の範囲内です。例えば、20年後に資産が「3,000万円になったか(オルカン)」「3,200万円になったか(S&P500)」程度の差であり、どちらを選んでいても「老後資金を作る」という目的は達成されています。


4. どちらを選んでも「後悔」は消えないという心理的罠

論争が終わらない本当の理由は、数学的なリターンの差ではなく、投資家の「隣の芝は青い」という心理にあります。

  • 米国株が絶好調の年:オルカン派は「やっぱりS&P500にしておけばよかった」と嘆く。
  • 米国株が低迷し、新興国が伸びる年:S&P500派は「オルカンなら助かったのに」と後悔する。

この「タラレバ」の心理が論争を煽り続けてきましたが、2026年の投資家の総意はこうなっています。 「どっちを選んでも、下がる時は一緒に下がるし、増える時は一緒に増える。選ばなかった方を気にする時間は、人生の無駄である。」

これが「論争の終止符」の正体だね。どちらが正解かを探し求めるフェーズから、「どちらでも良いから、一刻も早く始めて長く持ち続ける」フェーズへと、賢明な投資家たちは移行しているんだ。

数字面だけでなく、心理面でも対等なんですね!


5. 唯一の明確な違い:あなたは「米国1強」を信じるか?

「結局同じ」という結論を受け入れた上で、それでもなお選択を迫られた際、判断基準となるのは一点だけです。

「平均への回帰」を信じるかどうか

投資には「平均への回帰(Mean Reversion)」という法則があります。特定の国や資産が数十年勝ち続けることは珍しく、いつか必ず平均的な成長率に戻る、あるいは他の資産に追い抜かれるという考え方です。

  • オルカンを選ぶべき人: 「過去10年は米国1強だったが、今後20年でインドや東南アジア、あるいはまだ見ぬ新興勢力が台頭するかもしれない。その時に自動で比率を調整してほしい」と願う、文字通りの「不確実性への備え」を重視する人。
  • S&P500を選ぶべき人: 「資本主義の仕組み上、世界中の優秀な人材、資金、技術は今後も米国に集まり続ける。他国の企業も結局は米国のプラットフォーム上で動いているに過ぎない」と考える、「合理的な効率性」を重視する人。

結論:論争に終止符を打つ「最終回答」

「S&P500か、オルカンか」という問いに対する2026年現在の最終回答は、以下の3点に集約されます。

  1. 両者は「兄弟」のようなもの: 構成銘柄の6割以上が共通しており、値動きの相関係数は1に近い。
  2. パフォーマンスの差は「誤差」: どちらを選んでも、長期(15年以上)で見れば成功の確率は極めて高い。
  3. 一番の失敗は「迷って投資をしないこと」: どちらが数%リターンが良いかを議論している間に、市場の成長機会を逃すことこそが最大のリスクである。

もし、あなたがまだ迷っているのなら、こう考えてください。 「半分ずつ持つ必要はない。どちらか一方を信じて、その信念とともに心中する覚悟を持てば、それで合格だ。なぜなら、その心中相手は『人類の経済成長』という、最も裏切りにくい相手なのだから。」

この論争に終止符を打ち、私たちは次のステップへ進むべきです。それは、投資先を悩むことではなく、「どうやって投資を継続するための現金を稼ぐか」「浮いた時間でいかに人生を楽しむか」という、より本質的な問いへのシフトです。


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